大溝 貫之

 全国高校生地方鉄道交流会は、全国の高校生に社会の中で自分たちがどのような存在であるか、将来、担っていく可能性があるか、高校生たちが仲間と協力し、調べ、考え、まとめた企画案を発表する場と、それを評価する場を提供することを目的に2012年に設立されました。
 第1回 秋田内陸縦貫鉄道、第2回 いすみ鉄道、第3回 一畑電車、第4回 三陸鉄道、第5回 のと鉄道、第6回 鹿島臨海鉄道、第7回 東京モノレール、第8回 JR北海道 花咲線と毎年8月に開催して参りました。
 これまでに、高校生が発表した企画案が実現の運びとなりましたものに、「婚活列車」「軽トラ+列車の軽貨物輸送」「伊勢海老列車」「三陸鉄道夜行列車運行」「撮り鉄用時刻表設置」「駅スタンプ帳発行」「片道定期券発行」「地元商店割引切符発行」などがあり、若人の発想が社会の活性化に寄与したこともありました。

 今までの開催形態は、企画案部門と写真部門の二つの部門に分かれており、各々別々に表彰しています。
 企画案作成にあたり生徒諸君は、
(1)焦点を当てた鉄道と鉄道沿線に注目し、収支報告書、乗降客集、補助金額などの資料にあたるなどの事前学習で、問題点を見つけ出し、学校の部活動の時間などを利用して、改革案を仲間と協力して企画・立案します。
(2)現地を訪問し、まず、日頃、鉄道を利用している地元高校生や利用客の方々、鉄道事業者の皆さんとの交流会に臨み、情報交換と意見交換を行います。
(3)翌日、沿線各地の写真撮影を行います。沿線を移動することでその土地の方々とも触れ合い、予期せぬ出会もある貴重な時間を共有できます。この日撮影した写真のうち各自1枚のみを写真部門に提出することができます。写真部門は、企画部門とは別に、写真家の方々に審査をお願いし、厳正に審査し表彰しています。写真の著作権は交流会に帰属しており、地元観光協会や鉄道会社などで2次使用され、ポストカードやポスターなどに利用されています。※今回は写真部門はございません。
(4)地元高校生や地元の方々との交流での新たな気づきなどをスパイスに、用意した発表原稿にさらに磨きをかけ、公民館や市民ホールでのプレゼンテーションに臨みます。思いつきを披露するのではなく、決められた時間内に、エビデンスに基づいたしっかりした、持続可能な企画案であるかどうかを大切に、公共団体、鉄道会社、教育関係者の方々に審査をお願いし、公明正大に表彰しています。

 発表はメディアに公開され、報道されることで耳目を集め、地元の活性化に寄与しております。交流会の副賞として、優秀校の生徒さんがデザインしたヘッドマークを列車に装着して頂いたこともあり、装着期間に、写真撮影などで、再び人々が集まるなどの2次効果が表れることもありました。
 今年の第9回交流会は、この状況下ですので、ネット開催となります。交流会活動の大きな柱である地元を訪れることができません。地元の方々と交流することで得られる、「想定外の発見や驚き」にふれることはできませんが、ネット上開催の利点を充分生かした企画案が出る可能性がありますので、今までとは異なった形の技術の積極的な活用術を駆使した企画案発表の期待が高まります。
 今を生きる高校生に、社会はどのような仕組みで動いているのかを考えるきっかけとなり、まわりの人や自然の恩恵で社会は成り立っている。
 大きな社会も、一人一人がそれぞれの役割と責任をそれぞれ果たしているからこそ機能している。自分も社会の一員であり、近い将来、社会人として働く意欲と心構えを持つ。 
 これらのことに高校生が気づく教育的仕掛けの一つとして、大人の責任として、今後も交流会が機能する活動を続けていければと考えております。