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第13回全国高校生地方鉄道交流会【企画部門】受賞校!

テーマ:通年「地域創生と鉄道の役割」
    第13回「選ばれる観光地″伊賀″~近鉄・JRと連携した誘客~」
会場:ハイトピア伊賀

■伊賀鉄道株式会社 社長賞 【浪速高等学校・浪速中学校 鉄道研究部】

左から)伊賀鉄道株式会社 増田代表取締役常務・福嶌代表取締役社長
副賞:ヘッドマークデザイン権
装着式:10月20日(日)決定!!

遠方からでも行きたいと思ってもらい、リピーターになってもらう『おもてなしの心』と、テーマを絞り込んで発表した点が非常に良かったです。

観光客、地元民の両面から考え、『レンタサイクル、手荷物預かり、2日間周遊券』『観光案内所移転+レンタサイクル』『アンテナショップ+イートイン、地酒の試飲』『パークアンドライド促進→車を停めて周遊』『EVカーシェアリングステーション』『免許返納者半額制度』『周辺店舗、旅館等のトイレ改修工事の補助』『桜の街としてアピール』『亀山リニア駅~伊賀線直通』など、数々の案が審査員の心を捉えました。

また、三重県知事と伊賀市長の対談から課題点を探り、インバウンド客の回復率をあげ、「忍者といえば、伊賀」との認知をあげるための提案で、NARUTO連携は効果が期待でき、乗務員の忍者装束や、海外の観光客に人気の「奈良の鹿」とのコラボは非常におもしろいと感じました。資金調達の為の具体的なクラウドファンディング案や、リターンに関しても、伊賀鉄道を利用し、伊賀で楽しむ実現可能な具体例をあげている点が素晴らしいと評価されました。

■浪速高等学校・中学校/伊賀鉄道活性化案 ▶資料PDF

■YouTube:2:01:05~発表https://youtube.com/live/H63UvgBTIlY

■伊賀線活性化協議会 会長賞【東北学院中学校・高等学校 鉄道研究部】

左から)伊賀鉄道株式会社 増田代表取締役常務・伊賀線活性化協議会 中井会長
副賞:伊賀の特産品 IGAMONO 伊賀牛

トータル的に自分たちで見聞きした実体験に基づいた、大人も子供もワクワクするような企画提案で、非常にインパクトのある内容でした。

『最高の49歳を四十九駅で迎える四十九駅イベント』は珍しい駅名に着目し、「40代になると人から褒めてもらう機会が減る」という顧問の先生の言葉からヒントを得、毎年、4月9日に素敵な49歳の方々が四十九駅に集まり、褒めあったり、激励するコンテストで、伊賀鉄道を知るきっかけ、乗るきっかけをつくり、地元民のマイレール意識を高める効果があると説き、すぐに実施可能であると感じました。

下ばかり見ていないで、上を見よう!『星空キャンピングトレイン』に関しては、星空を見つけた発想がとても素晴らしく、テント・望遠鏡の貸出しで気軽に参加、電車の中でテントを張って泊まるいうという非日常体験が、非常に面白い。

京都からの観光客を誘う、京都⇔伊賀のフリーパスは非常に良いと思いました。

『IGA-NINJA-DUELLING』 は新しい忍者体感という発想で、伊賀市から提供された資料を更に発展させ、新しい忍者施設ともコラボできるのではないかと感じました。

■東北学院中学校・高等学校/伊賀鉄道活性化案 ▶資料PDF

■YouTube:2:38:50~発表https://youtube.com/live/H63UvgBTIlY

■伊賀市長賞【成城中学校・成城高等学校 鉄道研究部】

右)伊賀市 岡本市長
副賞:伊賀の特産品 IGAMONO 伊賀牛

『まちの活性化』に着目し、空き家バンクを活かすための新たな施作、大阪、奈良、京都、伊勢、名古屋から各地の物産を関西圏の中心に位置している伊賀に集め伊賀市をセンターマルシェにする、リニア三重上野駅、LRT化-ゆめが丘延伸、また、数種類の忍者ゲームアプリを自作し、どのようにクリアしていくかを見せながらの説明は具体的で、クリアしたポイントに応じて、商店街で利用できる商品券や伊賀鉄道の切符と交換、伊賀の間伐材を使った記念切符の発行、銀座商店街の全国コラボ、伊賀越えラリーなどを提案し、伊賀鉄道、伊賀市へ導く案が豊富であると感じました。

新たな伊賀鉄道のPRとして、余野公園に保存されているD51 831を圧縮空気を使用して動かす『SL忍者号』を走らせ、間伐材の手裏剣切符、SLのヘッドマークを季節ごとに変更するなど誘客ポイントも合わせてプレゼンし、非常にわかりやすく、まとまっていたと思います。

すぐ実現化できそうな企画もあれば、実現に課題が多そうなものもある印象を受けました。

■成城中学校・成城高等学校/伊賀鉄道活性化案 ▶資料PDF

■YouTube:1:52:17~発表https://youtube.com/live/H63UvgBTIlY

■西日本旅客鉄道株式会社 阪奈支社 地域共生室長賞
【清風中学校・高等学校 鉄道研究部】

右)西日本旅客鉄道株式会社 近畿統括本部 阪奈支社 福山地域共生室長
副賞:大阪〜神戸鉄道開業150周年記念ノベルティ

元気で軽快な発表が印象的でした。

  • 国内外の観光客の利便性向上のため、蓄電池列車乗り入れ、関空から大和八木間の連絡バス
  • リピーター獲得のために、忍者列車をデザインした松本零士氏の代表作、銀河鉄道999とのコラボ案伊賀上野駅=メガロポリス、駅=星と見立て、原作要素を含む謎解き企画、ボイスチェンジャーを利用して好きなキャラクターの声での車内放送体験など具体的に提案し、また、現存する枕木オーナー制度を利用してのイベント資金集めの提案、999本達成時のイベント企画など、枕木募金をうまく活用する事ができればとても面白くなる!と感じました。
  • カワサキバイクニンジャシリーズとのコラボ
  • 伊賀-甲賀忍者ライン
  • 歴史的建造物-タイムトラベルなど、興味深い提案も多くありました。

■清風中学校・高等学校/伊賀鉄道活性化案 ▶資料PDF

■YouTube:2:20:53~発表https://youtube.com/live/H63UvgBTIlY

【第13回 全国高校生地方鉄道交流会 総評】

 伊賀鉄道の全面的なご協力と伊賀市の皆様、近畿日本鉄道、西日本旅客鉄道,伊賀線活性化協議会のご支援のもと例年通り8月16 日より3日間の日程で開催することができました。ここに、ご尽力に心より感謝申し上げます。

 開催日の1週間前には、日向灘でマグニチュード7.0の地震が発生したことに伴い「南海トラフ地震臨時情報注意」が発せられました。続いて、台風7号の影響で東海道新幹線が8月16日始発から計画運休することが、14日の夕刻に発表されたため、現地入りの予定であったものを、急遽リモート参加に変更された高校もありました。東北地方や首都圏から参加の高校の中には、15日中に旅程を組み替え、青春18切符を使ったり在来線特急も組み込んだりして、16日夜までに伊賀市入りを果たされた高校もありました。

 ある高校は、名古屋から伊賀上野駅まで関西線を利用し、伊賀上野駅から伊賀鉄道19:00発1891列車で伊賀上野駅から上野市駅に入る旅程を組み上げましたが、関西線が遅延したため19:00までに到着することは無理な状況となり、次の19:33発の1983列車を待つことになるだろうと諦めていました。伊賀上野駅に到着した際、隣のホームを見ると、そこには、出発したはずの伊賀鉄道1891列車が待機しており、19:10には上野市駅に到着できました。後に聞いたところによりますと、JR西日本と伊賀鉄道は遅延が発生した折には、連絡を取り合いお互い待機するなどしているとのことでした。この連携のお陰で、ほぼ予定時刻に到着できました。ありがとうございました。お心遣いに感謝いたします。

 13回交流会は、初めて三重県で開催いたしました。地元三重県をはじめ、東は宮城県、福島県から西は大阪府まで、リモート参加を含めて12高校、約100名の生徒さんが参加してくださいました。テーマは、「地域創生と鉄道の役割」に加え、「選ばれる観光地”伊賀”~近鉄・JRと連携した誘客」でした。どの高校もテーマの狙いを踏まえ、よく考えられた活性化案をプレゼンテーションしてくださいました。ほとんどの高校が、近鉄・JRと連携したフリー切符を提案し、金券を組み込んで、沿線地域に点在する既存商業施設や観光施設の利用促進を促すものであったことは、鉄道事業自体が、沿線地域の経済活動と一体のものであると広く高校生に考えられていて、認識力の高さを示すものと思います。

 地元三重県の高校生は、通学時に不便に感じていた改札口通過方法について改革を訴えました。沿線の老舗和菓子屋さんとのコラボ事業の提案は、まさに地元高校生ならではの活性化案でした。日常利用する地元の視点は大切です。伊賀市の特徴を活かした活性化案が数多くプレゼンされました。「なるほど!」と思わず声を上げるようなものも、いくつもありました。例えば、伊賀市内の公園に静態保存されているSLを活用する案は、石炭燃焼ではなく圧縮空気を動力に利用するものでした。コンプレッサーを作動するのに、沿線の工業団地に設置されたソーラーパネル発電の電力、それも日中に発電され、工場では使い切れない余剰電力を蓄電池に蓄えて、動力とするなど、環境に配慮したものでした。経路は、新幹線と接続する滋賀県の米原駅から近江鉄道も経由して三重県伊賀神戸駅まで運行する隣接地域までも活性化しようとする案でした。ただ、残念なことに、準備したプレゼンを制限時間の8分内に収めることを優先し、あまりにも早口でプレゼンをしたので、聞き取れずせっかくの考えが充分伝わりませんでした。たくさんの活性化案をプレゼンしたい気持ちは理解できますが、案の数を絞って解説や説明用のスライドも用意して、しっかり伝えることを大切にしてもらいたいと感じました。企画立案に参加していない人に、事前練習を見てもらって感想を聞いてみてはどうでしょうか。

 四十九駅に49歳になった人に集まってもらい、BEST OF 49歳を選ぶイベントは、あれば良いなあ、面白いイベントになるだろうなと素直に思いました。大阪、京都、奈良、伊勢、名古屋、更には、関西空港、セントレア空港まで、名阪国道を利用すれば鉄道を利用するより早く移動できることに注目し、高速バス路線設置の提案もありました。高速道路をライバルとみなすのでなく、積極的に地域活動支援に利用しようとの考えは、これまでに、それほど出ていない柔軟性のある素晴らしい着眼点だと思いました。それらの都市に行くことだけでなく、ベクトルを逆にして、それらの都市から人材や物産に来てもらえば、関西圏の中央に立地する伊賀市の地理的優位性を発揮することができるとの考えを少し述べている高校もありました。素晴らしい着眼点ですので、独立した活性化案として、じっくり時間を掛けて訴えれば良かったのにと残念に思いました。

 伊賀といえば、忍者は連想されますので、たくさんの活性化案がプレゼンされました。「NARUTO-ナルト-」は、活性化案にどのような形で利用されるのかなと考えていました。実際に採用した高校は一つだけでした。考えると、1998年に「少年ジャンプ誌」で連載が開始されたマンガで、世界中に人気がある作品ですが、今の中高校生は知らない人も多かったようですね。

 伊賀忍者と甲賀忍者が対戦するゲーム大会を実際に行うイベントや大阪府堺市から愛知県岡崎市まで、徳川家康が逃避行した道を、南海、近鉄、伊賀鉄道、JR西日本、伊勢湾フェリー、JR東海を用いてゲームをやりながら辿る令和の「伊賀越えサバイバル」は、開催されれば、参加者はかなりの数になると思いました。

 活性化案実現に向けて、資金調達計画まで触れていたプレゼンが少ない点は、少し残念でした。今回の交流会から、従来の「活性化案部門」「写真部門」に「映像部門」が加わりました。一分間ほどの短い時間に映像・音・テロップを編集することが求められる難易度高めの要求に見事に答えた作品は、撮影は夜間で、登場するのは最終列車のみ。音声も車内アナウンスに限定したもので、勇気を持って対象を絞って個性を際立たせたものでした。テーマを並列するより、絞るほうが伝わりやすいのかもしれません。

 今回の交流会からから、始まった試みが、もう一つあります。それは、かつて交流会に参加したことがある人が大学生となり、ボランティアとして運営を支援してくださったことです。交流会を経験し会の目指すところを知っているOB・OGに手伝ってもらいたいと考えていました。今回、3人のOBが運営に加わってくださいました。準備段階から頼もしく、当日は、信頼して映像撮影や配信業務を担ってもらいました。あらためて、感謝いたしたいと思います。ありがとうございました。皆さんも高校卒業後、ボランティア活動で運営を手伝ってください。お願いします。

 「発見は、準備した人に微笑む」は、パスツールの言葉です。いろいろと考えを巡らせ、寄り添う気持ちを準備できれば、これからも、様々な発見が有りそうですね。

 来年は宮城県美里町小牛田で、お会いしましょう。

 

一般社団法人全国高校生地方鉄道交流会 代表理事 大溝貫之